フザけた月次決算とその克服

無意味・・・とはいえないまでも、少なくとも有用とはいえない月次決算とその克服方法についてコメントいたします。

( 1 )そもそも月次決算は必要か

そもそも月次決算を経営判断に利用しない場合には、月次決算は必要ないのかもしれません。 月次決算を作成したとしても、その精度が著しく低いものであったり、決算時に損益が(想定外に)劇的に変動する場合には有用とはいえません。 このような月次決算をベースにしてもろもろの財務比率を算定して経営診断(のようなもの)をしても、これらの諸数値はほとんど意味がなく、誤った印象を与え、誤った経営判断をするリスクがあります。

( 2 )期中現金主義

期中現金主義とは、(現金取引でないにもかかわらず)期中の取引を売掛金勘定、買掛金勘定、未払金勘定を使わずに入金時に売上を計上し、支払時に仕入高や経費を計上する方法です。 この方法は、決算時に売掛金残高や買掛金残高を、前期末の残高と洗い替えを行いますが、少なくとも期中の月次決算では、通常の収益や費用の収益計上基準とは異なるタイミングのため、月次決算の精度は低くなります。

( 3 )消費税を税込経理しているときの(納付)消費税額

税込経理方式では、預かった消費税や支払った消費税が収益や費用に含まれることになります。ということは、消費税の申告による納付額は費用になることになります。 ということは、月次決算においても、少なくともその時点で発生している消費税納付額(状況によっては還付額)を費用(あるいは収益)として認識していないと、期末になってから多額の租税公課が発生して「なんのための月次決算だったのか」ということになります。この場合、月次ベースではこの費用を認識していない良好な月次決算となっているため、これを基礎にして経営指標を出したり、経営分析してみたところで、有用なものとはいえないのです。

( 4 )「月次棚卸」省略の弊害

月次棚卸を省略すると、いや、月次棚卸の結果を会計上反映しなくても、会計ソフトからは立派な月次決算書は作られます。しかし、期中の月次決算の数値は、売上高と製造費用(仕入高)との単純な差額によって売上総利益が計算されるという、ほとんど意味のないといっていい内容となってしまいます。それを前提にして月次報告あるいは経営分析や経営判断も、なんともいえないものとなります。原価率や粗利益率と見えたものは、売上高と売上原価や売上総利益との比率ではなく、期間中の売上高と製造費用との比率であり、販売活動と生産活動の比率という関連性がやや薄いものなのです。

( 5 )「棚卸から原価」ではなく「原価から棚卸」

月次棚卸を省略することによる弊害をなくす方法として、月次棚卸によって売上原価を算定するのではなく、売上原価を算定することで月次棚卸高を算定するアプローチをご紹介します。

( 6 ) まるで20日締め決算

期間損益計算を適正に行い、それに基づいて正しい経営判断を行おうとする場合には、当然ですが、その期間中に発生した損益をキチンと取り込むのがまず第一歩です。請求書ベースで取引を計上し、特段の処理を行わないと、月次決算とはいっても、実は「前月21日から当月20日まで決算」ということになります。

また、原価計算をする場合でも、配賦などを行う以前に、まずは発生した費用が締め日などによる期間的なズレを矯正しないと、算定された数値の精度も妥当とは思えません。