( 1 )いきなり解答を見ちゃいます

まずは仕訳を覚えることが先決です。そのためには、最初から問題と解答を見比べてしまいましょう。理解が不十分でも立ち止まらず、とりあえず先に進んで全体像を把握することが重要です。いったん全体像を把握してからもう一度当たれば、すくなくとも1回目よりも理解はできるはずです。

とにかく仕訳

簿記の3級のテキストや問題集を見ると、かなり最初の段階から「ナントカ元帳に転記しなさい」とかが出てきます。

それらはとりあえず飛ばしていただいて、まずは仕訳をマスターしてください。

仕訳とは、実際に起こる取引(日本語)を記号にしたようなものです。

私たちはモノを食べるときに、ナニナニ筋を動かして口に運んで、咀嚼して、唾液を出して、飲み込んで・・・と明確に意識しているでしょうか。そんなはずはなく、まったく無意識に近い状態だと思います。

クルマの免許を取り立てのとき、視野がまったく狭くて、とても周囲になんか気が回らず、安全確認もおぼつかず、他のドライバーが神に見えたと思います。しかし、慣れれば無意識のうちに視野は広がり、周囲を見て安全確認も無意識のうちに身につけていると思います。

仕訳もここまでいかなければなりません。「ウーン、これは左だっけ?右だっけ?」とか悩んでいるようではいけません。「資産の増加?負債の減少??」とか論理的に考えてもいけません。

そういうもんなんだ」・・・この精神が大切です。

アタマのいい方にかぎって、「なんでこういう仕訳なんだ?」とか考えてしまいがちです。考える必要はありません。「そういうもんなんだ」と割り切りましょう。

アタマの中にストックがたまってきて、はじめていろいろ論理的に考えはじめることができます。ストックがないうちから考えてもしかたありません。理解するためにはある程度のストックが必要です。「理解は後からついてくる」のです。

いきなり問題と解答を見比べてしまう

仕訳を「そういうもんなんだ」と割り切って覚えようとすれば、問題見ていちいち「ウーン」とか悩む必要はありません。いきなり解答と見比べてしまいます。精神衛生的にもよいです。

問題文の日本語を見たら、いろいろ考えず「こういう仕訳なのか」と納得します。英語を聞いて覚えるのに似ているかもしれません。

私の場合は、教科書やテキストを読んでから問題を解くのではなく、いきなり問題と解答と解説を見比べて、どうしてもわからないときに教科書やテキストを見ます。なぜなら、試験って、けっきょく問題解けてナンボの世界だからです。理解できていても、解答用紙に正答を書けなければ意味がありません

「ナントカ帳に転記しなさい」とかそういう問題は一切無視して、仕訳の問題だけをとりあえずどんどん解く・・・いや、解答と見比べます。 ただただ先に突き進んでいっても、なんだかよくわからないと思います。当然です。でも、そのたびにいちいち立ち止まって悩むよりも、とりあえず先に進んで全体像を把握することが重要です。いったん全体像を把握してからもう一度当たれば、すくなくとも1回目よりも理解はできるはずです。

とにかく、問題集の最後まで突っ走ります。

ほとんどアタマに入っていないのに、最後までいくとなぜかすがすがしいキモチになります。ここが大切です。

「借方」「貸方」の呪縛からの解放

勉強を始めると、私も経験ありますが混乱します。

もっとも典型的なのが「なんで借入金なのに貸方なの?」「なんで貸付金なのに借方なの?」です。

混乱するときは「借方」「貸方」とかはやめましょう。「ヒダリ」と「ミギ」でもいいです。とにかく、「借方」と「貸方」の呪縛から解放されましょう。

「借方」と「貸方」というのは、他人同士がコミュニケーションを取るための一般用語です。自分が理解するのに必要ありません。

必ず紙に書く

いきなり問題集から始め、しかも、いきなり解答や解説と見比べて、仕訳問題だけをどんどん読み進め、問題集をすでに1回転してしまった・・・地道にお行儀よく学習されている方に大きく差をつけています。

しかも、1回転目ではまったくチンプンカンプンだったのが、2回転目になるとすこし理解できている自分に気づいているはずです。これこそが学びの醍醐味です。

しかし、問題と解答見て納得しているだけでは、けっきょくそれで終わってしまいます。

かならず紙に書く・・・これがとっても重要です。

アタマではわかっていた(つもりだった)のに、試験場では金縛りのようにまったく手が動かない苦い経験をみなさまお持ちのはずです。

繰り返し紙に書くことで、アタマでなくカラダで覚えることになります。そう、簿記はスポーツなのです。

紙に書くのは面倒で、しかもわかっていることを何度もやるのは苦痛です。しかし、モノを食べるかのように無意識で仕訳ができるようにならなければいけません。この苦痛に耐えられるかどうかが、試験場で難問にぶつかったときに生きてくるのです。

それと、仕訳を紙に書くことは、実は、飛ばしていた「ナントカ帳へ転記しなさい」の問題への訓練になるのです。

( つづく )