「みなし譲渡」「みなし贈与」「みなし配当」の違い

混乱しそうな、「みなし譲渡」「みなし贈与」「みなし配当」の違いについてご説明します。

みなし譲渡とみなし贈与は、いずれも時価で譲渡または贈与があったものとみなされるというものです。いっぽう、みなし配当は、法人の株主が法人から受け取る便益の一部が法人の配当とみなされるというものです。

みなし譲渡

みなし譲渡とは、所得税法上の用語です。個人(売主)が時価(所得税法上の時価)よりも著しく低い対価の額で株式を譲渡した場合には、譲渡所得金額の計算上、譲渡収入の金額は所得税法上の時価とみなされるというものです(所得税法59条)。

みなし贈与

みなし贈与とは、相続税法上の用語です。個人(買主)が時価(相続税法上の時価)よりも著しく低い対価で株式を取得した場合には、時価との差額については、売主から贈与を受けたものとして贈与税が課されるというものです(相続税法7条)。

みなし配当

みなし配当とは、所得税法上の用語です。個人が株式をその発行法人に対して譲渡した(発行法人からみれば自己株式の取得)場合、発行法人から受け取った金銭等が、発行法人の資本金等の額又は同条第17号の2に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となった当該法人の株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額に係る金銭等の額は、剰余金の配当とみなされるというものです(所得税法25条)。

個人株主が発行法人に対して株式を譲渡した場合の所得税については、株式の譲渡により受け取った金銭のうち、みなし配当となる額以外の部分が譲渡所得の収入金額になります。

(おわり)