給与所得者目線での所得税等の知識

ともすれば、経理部や総務部などの事務処理担当者向け、あるいは、専門家向けとなりそうな所得税等の知識や実務について、給与所得者目線であらためて整理していただくためにコメントいたします。

( 1 )所得税と住民税の知識

ありがちなのが、「そもそも給与所得者じゃないですよね?」すなわち、「勤務先」から交付されたのが源泉徴収票でなく支払調書の場合です。支払調書の場合には、従業員ではなく単純な請負業者(個人事業主)であり、年末調整などされるはずもなく、確定申告をしなければなりません。

( 2 )年末調整と確定申告の関係

年末調整とは何なのか?「年末調整すると税金が戻ってくる」とはどういうことか?年末調整してもらえないこととはどういうことか?年末調整ではできないこと(確定申告しなければならない)はなにか?年末調整しているかしていないのかチェックする方法は?・・・などについてコメントいたします。

( 3 )給与収入と給与所得金額

サラリーパーソンにとって、給与収入(いわゆる「額面」)の全額に所得税が課されるわけではありません。給与収入から、国が定めた一定の額(給与所得控除額)を差し引いた「給与所得金額」に所得税が課されます。この給与所得控除額は、いわばサラリーパーソンの必要経費といえます。

平成29年分からは給与収入1,000万円に対する給与所得控除額が220万円で頭打ちとなるため、1,000万円超の部分については全額所得金額となります。このため、オーナー会社の社長など、自ら給料を設計できる場合にはさまざまなシミュレーションが求められます。

( 4 )扶養控除等(異動)申告書について

転職して入社したり、年末調整で何となく勤務先に提出する扶養控除等(異動)申告書ですが、これは年末調整での配偶者控除や扶養控除を受けるためのものだけではありません。毎月の給料等から天引き(源泉徴収)される所得税等の額は扶養控除等(異動)申告書の提出の有無で決まるのです。

また、複数の勤務先から給料等の支払を受けている場合、扶養控除等(異動)申告書は1ヵ所にしか提出できません。

( 5 )家族の「所得」の調べ方

年末調整で一番面倒なこと、それは、家族の所得の金額の計算がわからないことです。家族がバイトしているのかどうかがわからないのはそれはそれでまた別問題ですが、バイトしていて年収はわかっても所得の金額の計算がわからないことです。

そんなときは国税庁サイトの「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を見ましょう。