( 2 )固定資産データベースの作成とポイント

あらためて固定資産のデータベースを作成しようとする場合には、とくに、固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)によらず、エクセル等の表計算ソフトで減価償却を行っている場合には、念のために期首残高をチェックすることが望ましいと考えられます。このとき、資産の種別と勘定科目でズレが生じていることを発見することがあります(特に建物と建物附属設備と構築物)。このズレのために耐用年数の設定が誤っていることなどがあります。

固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)とのつきあい方

どんな規模の会社でも法人税の申告をしなければなりません。

会社が会計上どのような処理をしようとも、法人税の規定では「これは固定資産だ」というものは固定資産に計上しなければならず、資産ごとに定められた耐用年数(法定耐用年数)と残存価額によって、定められた方法によって定められた額までが法人税法上の費用(損金)となります。

定額法や定率法といっても、定められた方法によって行わなければならず、定率法でも単純に期首簿価に償却率を乗じればよいわけではありません(一定の償却後は保証率等により調整が行われます。)。

さらに、償却資産税の申告ともなれば、独自の算定方法(法人税法の定率法の変形)や、決算期にかかわらず1月1日現在での申告、しかも資産が所在する市町村ごとに申告します。

この点、市販の固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)は非常にすぐれているため、少なくとも法人税の申告の際の各資産の償却限度額の計算はソフトによって算定すべきで、エクセル等の計算は避けるべきです。

さて、会計上の減価償却について、法人税法による償却方法、耐用年数(法定耐用年数)によらずに独自の方法により計算する場合には、わざわざ減価償却ソフトによらずにエクセルで行ったほうがよいかもしれません。

減価償却方法や耐用年数などを毎期見直したり、または、減損や除却を行う場合には、ソフトのデータをエクセルに切り出してシミュレーションを行うほうがやりやすいという面もあります。

この点で、固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)は、エクセル(またはCSVファイルなど)への切り出し、あるいはエクセルからの読み込みが容易であるものがよいと思われます。とくに、法人税申告用データベースを作成するには必須です。

期首の諸数値のチェックの重要性

当事業年度について固定資産のデータベースを作ろうとする場合には、まず、期首における諸数値(取得金額や減価償却累計額)のチェックをすることをオススメします。

たしかに、決算は確定していることや、固定資産の減価償却については一般に遡及修正されないことから、「期首残高は動かせないから適正だ」という考え方もあるでしょう。 しかし、固定資産は、三次元としての存在だけでなく帳簿上も何十年も存在しつづけうるものです。ある意味では会社の歴史を反映しているものともいえます。いろいろゆがみがあるかもしれません。

まして、これからキチンと管理しようというのに、「間取り図とか玄関だけ見て家を買う」ようなことは避けたいものです。部屋の中を見て確かめたいものです。

会計と税務の乖離があるかどうかチェック

データベースを設計する前に、会計と税務(法人税法の規定)とで減価償却に差異があるかどうかチェックしてみます。

まず、直前事業年度以前の法人税申告書の別表十六関係を閲覧します。ここで、償却超過額や償却不足額、前期から繰り越された償却超過額と当期の償却認容額の記載があるかチェックします。

もし、これらに記載があるとしたら、少なくとも一部の減価償却資産について会計と法人税法で減価償却について乖離が生じていることになります。

すなわち、会計上で積極的に法人税法の規定による減価償却とは異なる減価償却を行っている(または、行っていた)か、あるいは、会計上で法人税法の規定による減価償却よりも少ない償却費を計上していることになります。

これがない場合には、法人税法の規定で算定される減価償却費(正確には償却限度額)を過不足なく会計でも計上していることになり、少なくとも直前期までは会計用データベースと税務用データベースは一致することになります。

会計データベースの設計

会計データベースを設計するためには、まず、減価償却等の会計処理する基礎となった固定資産関係のデータを入手します。

資産種別ごとに固定資産の取得価額、取得日(または事業供用日)、償却方法、残存価額、耐用年数、償却累計額などのデータをエクセルに落とします。そして、会計帳簿上の勘定科目の残高との照合を行います。

このとき、資産の種別と勘定科目でズレが生じていることを発見することがあります(特に建物と建物附属設備と構築物)。このズレのために耐用年数の設定が誤っている(長すぎたり短すぎたり)こともあります。

それと、固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)によらずにエクセルによって減価償却を行っている場合にありがちなのですが、「合計金額が違っている」ことがあります。その理由は1円未満の端数にあります。この端数はセルの表示を変更して小数点以下を表示させなければわかりません。資産の数が多ければ多いほど、見た目の残高と実際の合計額は異なります。この差が出ているときは、会計帳簿の残高に合わせるほかないと思われます。

また、会計データベースは、会計上で計上する減価償却費の根拠となるため、部門やセグメントの情報を入れておきます。

会社独自の会計上の減価償却費を固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)で計算させる場合の注意点

固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)は、基本的には減価償却費の計算を法人税法の規定に基づいて算定するように設計されています。

このため、会社独自の「定額法」「定率法」といっても、実際は法人税法のルールそのままで、耐用年数だけが異なることが少なくありません。 もし、会社独自の減価償却の計算を固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)で行うのであれば、以下の点に注意する必要があります。

定額法

「定額法」を選択した場合、取得価額に法人税法(正確には耐用年数省令)で定めた法定耐用年数ごとの償却率を乗じます。残存価額は1円です。平成19年4月1日以前に取得した固定資産についてはいわゆる「旧定額法」となります。取得価額から残存価額(取得価額の10%)を控除した額に乗じる償却率が現行と異なるうえ、通常の有形固定資産については、帳簿価額が取得価額の5%に達してからは60ヶ月にわたって1円になるまで均等償却します。

このため、法人税法の定額法によらずに、会社独自の定額法で固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)で減価償却費を算定するためには、「定額法」ではなく「リース定額法」や「均等償却」によるなどの方法が考えられます。

定率法

とくに平成19年4月1日以降取得した資産の法人税法の定率法の償却費の計算は複雑です。ざっくり申し上げると、一定時点からは定額法のような償却となります。

期首簿価(会計上の簿価ではなく税務上の簿価・・・会計上の簿価に償却超過額を加算した額です)に耐用年数省令で定めた法定耐用年数ごとの償却率を乗じるのですが、期首簿価が償却保証額(取得価額に保証率なるものを乗じた額)より下回った場合には、新たな償却率を乗じて定額法のような償却を行うのです。

平成19年4月1日以前に取得した固定資産についてはいわゆる「旧定率法」となります。期首簿価に乗じる償却率が現行と異なるうえ、通常の有形固定資産については、帳簿価額が取得価額の5%に達してからは60ヶ月にわたって1円になるまで均等償却します。

定率法の場合は、償却率そのものが法律上で算定されたものです。このため、会社独自の定率法による償却を行おうとする場合には、固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)に計算させるのは困難なので、エクセルなどで別途計算するほうがよいと思われます。この場合には、1円未満の端数処理を忘れずに行いましょう。

税務データベースの設計

会計と税務で減価償却について完全に一致していなかぎり、会計用データベースとは別に税務用データベースを作る必要があります。

会計上の減価償却費を会社独自の計算で行っている場合は当然ですが、すべて法人税法の規定どおりで処理しているとしても、会計上は費用処理したが、税務上では固定資産としなければならないものが存在するときは、別のデータベースを作成する必要があります。

たとえば、「会計上は費用処理をしたものの、税務上は固定資産計上しているもの」「会計上も固定資産としていたものの、償却が終了して簿価がゼロになったため何らかの事情で会計帳簿または(会計用)固定資産台帳から取得価額と減価償却累計額を削除してしまったもの」がこれにあたります。

通常は、別表十六関連に記載された取得価額の合計額と会計上の資産の取得価額の合計額が異なるときに、このような資産の存在を把握できますが、必ずしも別表十六関連の記載が完全無欠ではありません。別表記載の根拠となったデータを入手します。

とくに入手しなければならないのは、個々の資産についての償却超過額です。この明細がないと当事業年度で正しい申告を行うことができません。

なんらかの事情で入手できない場合には、下記のような手順で期首残高をチェックします。

税務データベースの設計で重要なのは、次の点です。

  • 会計上の簿価が税務上の簿価(原則として、取得価額から法人税法の規定による償却を行った累計額を差し引いた額、ただし下記を参照ください。)よりも小さい資産では、会計上の簿価に償却超過額を加えたものが税務上の簿価と一致すること
  • 会計上は費用処理してしまって固定資産となっていないものを、もれなく確実に捉えること(この場合には、税務上の簿価イコール償却超過額となります)
  • 減損を行った資産や資産除去債務部分が加わった資産は、とりわけ会計上と税務上で異なる取扱いとなるため、データベース上はひとつの資産を二つにして管理する、すなわち、取得価額を分割すること

償却資産税申告用データベースの設計

償却資産税申告用データベースの設計は、基本的に税務データベースを用いることになります。

償却資産税は固定資産税の一種(補完的な意味)であるため、固定資産税が課される建物(家屋)や土地は対象外となります。また、自動車税が課される車両についても対象外となります(ただし、自動車税が課されない車両は償却資産税の対象となります。)。またソフトウェアなどの無形固定資産や繰延資産も対象外となります。

いっぽう、中小事業者が行った「即時償却」として費用処理した「資産」も償却資産税用データベースに登録しなければなりません。また、建設仮勘定でも事業の用に供されている資産についても登録することになります。このような、償却資産税の申告に特有の資産をもれなく登録しなければなりません。

そして、償却資産税申告用データベースでは、資産種類(とくに建物附属設備が「構築物」として分類されます)、取得価額と取得時期と取得の方法(新品取得、中古取得など)、そして、何より場所の情報が重要となります。また、償却資産税の課税の特例などの適用を受けている資産については、そのデータも取り込みます。

減価償却が会計と税務と一致している場合ならば問題ありませんが、会計と税務とが分離しているときは、税務すなわち法定耐用年数とします。

期首残高のチェック

ついで、期首残高のチェックに入ります。

会計用データの期首簿価をチェックするには、ソフトに資産をインプットして、毎期繰越(年度更新)を続けていくのがベストです。とくに、税務上の償却費の計算(とくに定率法)は複雑のため、ソフトで計算させるのが正確で信頼性も高いです。

しかし、資産数が多く時間の制約があるとすると、エクセル上でチェックするほうが効率的です。

その場合の作業は、資産データを種類別(勘定科目別)ではなくて、取得日別に並べ直してからスタートするといいでしょう。

このとき、資産の順番が大きく崩れることになります。そこで、念のため、1列挿入してオリジナルの順番でナンバリングを振っておけば、万が一元の順番に直すときも安心です。また、このような作業の場合には、作業前のオリジナルのデータを必ず残しておいて、別シートで作業することをオススメします。

会計データベース

まず、会計上、つまり、各勘定科目の残高と一致する固定資産データからはじめます。

各勘定科目の残高との一致はすでに検証済みなので、エクセルの列に、資産種類、取得価額、(会社の適用する)残存価額、(会社の適用する)耐用年数、(会社の適用する)償却方法で、取得事業年度の償却費と当該事業年度末の簿価、翌事業年度の償却費と期末の簿価・・・と右にどんどん展開していきます。

すると、算定された額(理論値)よりも、会計帳簿(会計用データベース)の残高が大きいことがあります。この原因として、エクセル等で固定資産管理をしている場合にはセルに数式が当たっていないなどのミスもありえますが、それ以外であれば、過年度において諸事情により減価償却費を過少計上していたものと予想されます。

このように、理論値との大きな誤差が生じている場合には、その原因を分析したうえで、当期以降の減価償却や減損で調整することになるでしょう。

税務データベース

次に、税務データベース、つまり、法人税申告書別表十六関連と一致する固定資産の期首残高の検証を行います。

会計用の場合と同じく、資産種類、取得価額、法定耐用年数、(会社の選択した)税法の償却方法で、取得事業年度の償却費と当該事業年度末の簿価、翌事業年度の償却費と期末の簿価・・・と右にどんどん展開していきます。

取得事業年度の償却限度額と当該事業年度末の簿価(税務上の簿価です。以下同じ)、翌事業年度の償却費償却限度額と期末の簿価・・・とどんどん右に展開していきます。ただし、税務上の簿価の算定なので、各事業年度の償却限度額は円未満は切り捨てです。また、事業年度が1年未満のときは、年間分の月割りではなく、償却率の調整を行います。

ここで算定された簿価は、いわゆる「税務上の簿価」です。法人税法は、各資産について、その事業年度の減価償却費のうち損金として認める限度額を定めています。会計上の減価償却費の計上を法人税法の規定とまったく同じにしていれば、会計上の簿価と税務上の簿価は一致します。

より正確には、会計上で計上する各資産の減価償却費が、取得時から常に税法上の償却限度額と同額、または、償却限度額以下を計上してきている場合には、会計上の簿価と税務上の簿価は一致します(下記で詳しくご説明します)。

償却資産税申告用データベース

償却資産申告用データベースの期首残高のチェックとは、償却資産申告時期に市区町村から送付されてくる申告書にプレプリントで記載されている取得価額です。

実は、もろもろの事情で、プレプリントの金額とまったく合わないことがあります。

建物と建物附属設備と構築物の種別があいまいで、申告対象のものと対象外のものについて混乱していたり、場所的なミスや、期中に場所を移動したのにその処理が行われていかったことが原因として考えられます。

それから、笑えない処理として、ソフトにCSV等のデータを読み込む場合です。CSVで「2014年1月」と入力すると、「2014/1/1」としてセルに入力されます。そうすると、1月1日に資産を所有しているということで償却資産税の申告対象となってしまうのです

会計上の簿価と税務上の簿価の比較

会計データベースと税務データベースである程度の期首簿価を検討したところで、今度はそれを照合してその差額の有無をチェックします。

ここで、会計上の簿価とは、会計上の取得価額から会計上の減価償却費の累計額を差し引いた額です。税務上の簿価とは、税務上の取得価額から法人税法上の規定により損金となる額を差し引いた額です。

その前に、償却超過額と償却不足額についてコメントさせていただきます。

償却超過額

法人税法上の減価償却はいわゆる任意償却で、「法人が減価償却費として費用計上した額のうち、その事業年度の各資産の償却限度額までを損金として認める」という消極的なスタンスです。

会計上で計上した各資産の減価償却費が、当該資産の事業年度での税務上の償却限度額を超える場合には、その部分の額は法人税の申告にあたって損金の額として認められません(償却超過額)。この場合、会計上の方が減価償却が早いことになるため、会計上の簿価は税務上の簿価よりも小さくなります。

別の見方をすれば、次のような関係となります。

税務上の簿価 = 会計上の簿価 + 償却超過額

取得価額と残存価額が一致していれば、会計上の簿価と税務上の簿価の違いは、償却のタイミングの違いだけということになります。どちらかの減価償却が先行しても、償却が終了すればどちらも残存価額だけが残ることになります。よって、事業年度ごとにそのタイミングは解消し、少なくとも、税務上の償却が完了したときは、償却超過額は解消されます。

償却不足額

会計上の簿価よりも税務上の簿価が小さい場合には、償却不足額が存在していることになりますが、償却不足額のときは、会計上の簿価が税務上の簿価となります。なぜなら、法人税法上の減価償却費はいわゆる任意償却というもので、「法人が減価償却費として費用計上した額のうち、償却限度額までを損金として認める」消極的なスタンスのため、会計上で償却限度額未満の減価償却費を計上した場合は、それはそれで法人の判断ということなので是認されるからです。このため、償却不足額は会計上の簿価が税務上の簿価となります。

すなわち、「税務上の簿価 = 会計上の簿価 + 償却超過額」はありますが、「税務上の簿価 = 会計上の簿価 − 償却不足額」はありません。

一般論からすると、会計上の減価償却費を過少計上したという不適切な会計処理とも考えられますが、たとえば、会計上は定額法で償却し、法人税法上は定率法で償却限度額を計算している場合にはこのようなことは自然に生じます。

データベースの並べ方

ここで、会計データベースでの期首簿価と、税務データベースの期首簿価を比較してみます。

会計上存在する固定資産が税務上は存在しない、すなわち、会計データベースの資産の数が税務データベースの資産の数を上回ることはほぼないと思われます。逆に、会計上は費用処理してしまったが税務上は固定資産となる場合には、会計データベースに存在しない資産が税務データベースでは存在していないといけないことになります。

よって、通常は、会計データベースの資産の数と税務データベースの資産の数との関係は、一致するか、税務データベースの方が多いことになります。

さて、ここからデータベースを並べます。要は、資産の数が異なるため行がズレているものを補正します。

なぜわざわざ並べなければならないのでしょうか。それは、法人税申告データベースを作成するときに、一発でコピー&ペーストできるからです。

私のアナログなやり方をご紹介します。10万件くらいなら短時間でできると思います。

  • (数が少ない)会計データベースのワークシートに、税務データベースのワークシートを張り付けます。
  • 税務データベースのデータを資産番号、資産名、取得時期、取得価額を除いて非表示にします。表示データを少なくすることで、データをすべて切り取るときに右スクロールする手間が省けるからです。
  • 数列を新たに挿入し、セルに数式を入れます。資産名どうしを比較するIF関数を入れて一致したらOKのように設定します。同時に取得価額どうしを比較する引き算を入れます。資産名を比較するのは、取得価額が同じものが何行も続くことがあるからです。IF関数は半角と全角の違いでもOKにならないので、ここで統一しましょう。
  • 会計データベースと税務データベースの資産が一致している場合には、OKと0 が最後まで続くことになりますが、そんなことは通常ありません。ズレが生じた行があるとその下はすべてズレています。
  • このときに、一致するだけ行を挿入します。すると、税務データベースのデータもその分間隔が空いてしまうので、データ全体を選択して上に詰めます。ここで、先ほどの非表示にしたのが効いてきます。データ全体の選択はマウスではなく、シフトと矢印キーで行いましょう。
  • 一番最後まで到達したら、会計データベースと税務データベースは無事並んだことになります。

別表五(一)との整合性のチェック

会計と税務のデータが並んだところで、会計上の簿価と税務上の簿価を比較します。

会計上の簿価よりも税務上の簿価が大きい場合には、償却超過額が存在していることになります。

よって、会計上の簿価よりも税務上の簿価が大きい場合の償却超過額だけを集計します。償却不足額と相殺してはなりません(上記参照ください)。そして、この償却超過額の合計額が法人税申告書別表五(一)の「減価償却超過額」と一致しているか確認します。

一致していない場合には、ある程度分析しなければなりません。差額と同じ資産(またはその集合)とぴったり一致していれば、その部分にミスがあったことになるのでスッキリ解消します。しかし、どう検算しても判明しないものもあります。このテの検算または検証で注意しなければならないのは、ケアレスミスも含めてあらゆる想定を排除しないことです。

別表五(一)での繰越超過額よりもデータベースの額のほうが明らかに小さい場合には、その差額の大きさにもよりますが、当事業年度で損金にせざるをえないと思われます。

別表五(一)での繰越超過額よりもデータベースの額のほうが大きい場合には、その差額の大きさにもよりますが、いくつかの選択肢を考えることになると思われます。

( つづく )