固定資産データベースの作成と管理

会計と税務とでの固定資産計上や減価償却が異なってくると、単一の固定資産台帳(データベース)ではかえって管理が困難となります。そこで、データベースを複数作るヒントについて申し上げます。

( 1 )固定資産台帳の考え方

固定資産について、会計と税務(法人税法や償却資産税など)とで異なる処理となった場合には、目的ごとの固定資産データベースを作成すればよく、ひとつの台帳に固執する必要はまったくありません。 減価償却については、表計算ソフトによらず減価償却ソフトを用いるべきです。しかし、なんでもかんでも減価償却ソフトにこだわり、ムダなカスタマイズなどをするのではなく、あくまで償却費を計算させたり申告書を作成するツールとしてうまく使いこなすべきです。

( 2 ) 固定資産データベースの作成とポイント

あらためて固定資産のデータベースを作成しようとする場合には、とくに、固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)によらず、エクセル等の表計算ソフトで減価償却を行っている場合には、念のために期首残高をチェックすることが望ましいと考えられます。このとき、資産の種別と勘定科目でズレが生じていることを発見することがあります(特に建物と建物附属設備と構築物)。このズレのために耐用年数の設定が誤っていることなどがあります。

( 3 ) 固定資産データベースの運用

固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)は償却費を計算させるツールとして考え、データベースでデータを管理し、これを固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)に読み込ませることで償却費を計算させます。 この方法によれば、期中に生じた会計と税務が分離するような事態でも、データベースを変更することで対応できますし、四半期の償却費を算定することができます。

( 4 ) 減損や資産除去債務などへの対応

会計上の減価償却を、法人税法の規定とまったく同じにしていても、会計と税務が乖離せざるをえないことがあります。 ここでは、減損処理をしなければならない資産、資産除去債務相当額を加算しなければならない資産、会計上は費用処理するものの、税務上は減価償却資産としていなければならない資産について、その管理についてコメントさせていただきます。

( 5 ) 法人税申告用データベースの作成

それは、会計データベースで算定された会計上の減価償却費を、税務データベースに転記することによって、会計上の減価償却費と税務上の償却限度額との差額(償却超過額、償却不足額)を固定資産管理ソフト(減価償却ソフト)で計算させるものです。