共有者間やグループ会社間での取引額配分と端数調整

ある数値や金額を、比率で複数に配分するときに避けられないのが端数です。端数がどう発生するのか、それをどう調整(再調整)するのかについてコメントいたします。

( 1 )端数調整とは

ある数値や金額を、比率で複数に配分するときに避けられないのが端数です。

円未満に端数が生じても1円単位で配分しなければない場合、どこかを1円大きく、どこかが1円少なく配分しなければなりません。

この場合の最終目標は、「配分後の合計値が比率に応じた値となり、差額は1円にとどめること」「比率で配分した値の合計が、配分前の数値の合計と完全に一致すること」です。

端数がどう発生するのか、それをどう調整(再調整)するのかの例をご紹介します。

( 2 )問題の所在

共有財産の共有者間やグループ会社間の取引では、それぞれが独立した主体である一方、対外的な取引はひとつとの間で行われることが少なくありません。

独立した主体どうしとなると、主体間の取引は消費税込みの税込金額での取引となります。つまり、損益の配分とともに債権債務の配分を行うことになります。

いっぽう、グループ会社間や共有者間では、損益(税抜価格)の配分に伴う端数調整のみならず、債権債務(税込金額)の配分での端数調整が求められるのです。

( 3 )経理上の設定と処理

共有財産に係る取引やグループ会社間の取引では、たとえば各共有者が共有持分に応じて外部者に請求したり、請求を求めたり、共有持分に応じて入金したり出金したりするよりも、共有者またはグループ会社のひとつが外部との取引を行い、これを共有割合や一定の比率によって損益や債権債務を付け替えることが一般的ではないでしょうか。

この実情に即しつつ、端数調整を行いやすい経理上の処理の方法について提案させていただきます。

( 4 )具体的な調整

具体的な調整は、取引金額である税込レベルでまず行い、その後で税抜レベルで行います。取引金額をまず固めれば、あとは本体価格と消費税との調整となるからです。

まず、端数による差額を個々のレベルで最小限(ゼロまたは1円)にし、その後に全体的なレベルでの差額をなくすように再調整していきます。

個々のレベルでの調整結果(部分最適)が必ずしも全体最適にならないときには、再調整を行います。