( 2 )ふたつの実力

「本試験で合格するのに必要な学力を身につける」ことと、「その学力をたった年1回のチャンスで発揮できる実力を身につける」ことの2つです。 前者がポテンシャル、後者がコンディショニングといっていいでしょうか。

合格に必要な実力は試験当日までに間に合えばいい

受験勉強って、勉強それ自体が目的だとかいう場合は別として、つまるところ合格するためにやってるわけです。

では、合格とはなんでしょう。 それは、本試験の会場で解答用紙に解答を書き込んで、解答のうち正答の割合が母集団の上位に入るということです。

つまり、受験勉強の究極の目的とは、「本試験の当日に試験場で解答用紙に他人より多くの正答を書くこと」ではないかと思われます。

合格を強く願ったり、ゲンを担いだり、お守りたくさん身に付けたりしてそれが可能なら、勉強する必要はまったくないわけですが、悲しいかなそれだけではちょっと足りないかもしれません。

本試験の当日に試験場で自分の実力を解答用紙に書かなければならないわけですから、模擬試験でどんなに合格可能性の判定が高かろうが、成績優秀者で名前が載ろうがまったく関係ありませんし、それまで何年勉強していようがそれもいったんリセットされます。あり余る知識や実力が備わっていたとしても、試験当日の解答用紙にそれをきちんとアピールしなければなりません。

逆に言えば、お守りを忘れようが、気合が足りなかろうが、模擬試験でどんなに合格可能性が低かろうが、勉強期間が短かろうが、「本試験の当日に試験場で解答用紙に他人より多くの正答を書くこと」ができれば合格するのです。

だとすると、試験に合格するには2つの力を身につけることが必要ではないかと思います。

「本試験で合格するのに必要な学力を身につける」ことと、「その学力をたった年1回のチャンスで発揮できる実力を身につける」ことの2つです。 前者がポテンシャル、後者がコンディショニングといっていいでしょうか。

その実力を当日に発揮できないといけません

ポテンシャルを身につければ合格すると考えている方も少なくありませんが、せっかくのポテンシャルを本試験当日に解答用紙に発揮できなければなりません。

たとえば、「本試験当日に体調崩さないか(あるいは、体調を多少崩しても実力を発揮できるか)」、「本試験でぜんぜんわからない問題が出たときでも落ち着いて点が拾えるか」、そして、「ケアレスミスをしないか」です。

そのためには、ふだんから常に本番をイメージして鍛練を積み重ねることが大事ではないかと思います。

「今日は答練だからこんなケアレスミスをしたけど、本試験では真剣にやるからミスはしない」という感覚では、実力向上や確実な合格はおぼつかないと思います。

合否のボーダーライン付近というのは、ケアレスミスの差で合否が決まっているといっていいと思います。一見ほんのちょっとのところなんですけど、このほんのちょっとのところがとてつもなく大きいのが難関試験の怖さだと思います。 過去問見て「これなら楽勝で合格できる」と思っても、実際に本試験会場でプレッシャーかかっている中で実力を出しきることは難しく、むしろ、ミスの少なさが勝負かもしれません。 本試験の会場は、ほとんど考えず、「解答マシーン」となってただただいつも通りの「作業」をするというくらいまでに準備しましょう。

ところで、受験に失敗して「ヤマが外れた」とおっしゃる方がいます。「ヤマが外れた」といっても、ヤマをかけること自体、手を抜いた、あるいは、手が回らなかった(やるべきことをやっていなかった)ということを自ら明らかにしていることですし、ほとんどの受験生にとってヤマが外れていたしても、現実に合否が分かれたということは、ほかのところで差がついたのではないかと思われます。やはり、前者(ポテンシャル)が若干足りなかったということではないでしょうか。

( つづく )