( 3 )定番を自己流でやる

いわゆる合格体験記モノを読むと、どの受験予備校の出身であろうと、合格者には定番と呼ばれる参考書や問題集があります。方法論は人それぞれで全然かまわないと思いますが、定番と呼ばれるものはマスターしていなければならないと思います。

定番といわれる参考書や問題集

どんな試験でも、いわゆる合格体験記があります。いかにも受験予備校の広告塔丸出しで胡散臭いものもありますが、そこはリテラシーの問題として、やはり、たいていの合格者が利用している定番の参考書や問題集があります。

しかし、これら定番の参考書や問題集は、私の経験からして、初学者からすると難しくてよくわからないものです。

ここで、「自分はやっぱダメなのかな」と落ち込むのはやむをえないとして、「なんとか理解しよう」と思うか、それとも、「自分は別のやり方でやろう」と思うかでまず大きな分かれ道があると思います。

難しくてよくわからないものですが、定番の参考書や問題集は、多くの合格者が推していることからすると、やはりその科目で合格レベルに達するためには最適なものであるといえます。

ですから、どうしても合格したいという強い願望があるなら、定番の参考書や問題集はぜひ押さえておくべきです。

けっきょく、みんながんばっているわけですし、自分よりも早く勉強を始めた人もわんさかいるわけです。それを追い抜き追い越そうとしているわけですから、安易に自己流に走るのは避け、定番をやるべきだと思います。

では、これらの参考書や問題集がわからないのはなぜでしょうか。自分の経験からすると、認めたくないでしょうが、実力が十分でないということです。つまり、とんだ高望みだということです。

でも、過剰に落ち込むことはないと思います。むしろ、とりあえず「最後まで読む」「2回目に賭ける」という方法もあります。よほど天才でないかぎり、1回目でその本のすべてを理解できるわけではありません。全体を把握してはじめて理解ができるということも少なくないからです。1回目よりも2回目のほうが少なくとも理解が深まっているはずです。それを信じて、立ち止まらず前進しましょう。

それでも、なかなか理解できないものです。

しかし、だからといって、安易に自己流に走るのはよいとは思いません。ブレイクダウン的な発想ではないですけど、定番の参考書や問題集を理解するために、もっと易しい参考書や問題集をマスターするのです。これは、我流に走るのではありません。定番をやるための手段として易しい参考書や問題集をマスターするのです。ですから、注意したいのは、「寄り道している」ことを強く意識することです。早いうちに再び定番に戻らなければなりません。

苦手な論点というか分野をマスターするためには、その論点なり分野についていくつかの参考書や問題にあたるとよいと思います。たとえば、定番の参考書や問題集(の解説)の記述との「相性」が悪いため、なかなか理解できないこともあります。そんなとき、他の参考書の記述や他の問題集の解説を読むと一挙に理解が深まり疑問が氷解することも少なくありません。

定番の参考書一点主義でそれに絞るというのはそれはそれで合理的ですが、理解できないところがあって立ち止まって時間を浪費し、結果的に自信(があればこれ)を失っても精神衛生上よくないです。寄り道していることを強く意識しつつも、定番を理解するために寄り道をすることも必要です。

定番は押さえなければいけませんが、押さえるための手段はいくらでも自己流でいいと思います。

定番の差は理解力の差

さて、合格者が推している定番の参考書や問題集ですが、それは合格者のみならず受験生の多くが利用しているものと考えられます。

にもかかわらず、合否が分かれるのはなぜでしょうか。

定番の参考書や問題集ではなく、たとえば人気講師の名講義に置き換えてみてもよいでしょう。果たして人気講師の名講義を聞いた受験生が全員合格しているでしょうか。そんなことはないはずです。

定番の参考書や問題集は多くの受験生がやっているに違いありません。そこで差が付くとしたら、結局は「理解度の差」「完成度の差」であると思います。

「最初から最後まで読み切る(解く)のにどれだけの時間がかかりますか」「制限時間よりも大幅に短い時間でいかに全問正解できますか(実際は必ずケアレスミスしてしまいます)」といったことです。

英単語集でもそうですけど、定番とされるものは多くの受験生が使っているはずですが、すべてをほぼ完璧に記憶している受験生となるとグッと人数は減ると思います。多くの人は、8割くらいで十分だと思っているか、「今日はちょっと集中できていなかったけど、本番では集中しているから大丈夫」と安易に考えているはずです。

ほんの少しのところなんですが、結局その差が実力が伸び悩む要因かもしれません。

なお、定番モノを何回も回していると、もう解答すら覚えてしまうということも少なくありません。でも、何回も解くことの目的は正解することではありません。正解するのは当たり前で、むしろ、「ケアレスミスをしなかったか」「解答の解説(正答への道)どおりにアタマが動いたか」のチェックが重要なのです。

( つづく )