( 10 )期間整合性と配賦

労務費の原価計算は、一定期間に発生したコストを各作業内容に配賦します。この場合、コストの発生と作業内容が同じ期間であることが大前提ということになります。しかし、ある月の1日から月末日までの作業内容を、前月21日から当月20日までの給料額と照合したところで、異なる期間のデータ同士ということになり、目的によっては有効なデータとはいえません。

いっぽう、会計上はコストにさまざまな要素(つまり勘定科目)があり、さらに、確定額と概算額が含まれている場合には、すべての要素を合計してから計算を行うのではなく、個々の要素ごとに計算することで、「仕訳を作りやすくなる」「概算額の計上と洗い替えがしやすくなる」のです。

また、給料の締め日や賞与の支給対象期間が月末日まででないなど、月中のコストが異なる場合、給料の締め日や賞与支給対象期間の締め日の前後で作業内容や作業時間を区分して、それぞれ集計と配賦計算を行うのが理論的です。

時間とコストの照合

労務費の原価計算は、一定期間に発生したコストを各作業内容に配賦します。この場合、コストの発生と作業内容が同じ期間であることが大前提ということになります。しかし、ある月の1日から月末日までの作業内容を、前月21日から当月20日までの給料額と照合したところで、異なる期間のデータ同士ということになり、目的によっては有効なデータとはいえません。

ここで、圧倒的多数の企業の決算日は月末日です。このため、月次(または四半期や期末)決算での期間は、毎月1日から月末日まで(の集まり)ということになります。

ということは、原価計算うんぬんの前に、まずは1ヶ月のコストをキチンと集計すべきということになります。 ただし、月次決算の締め日という問題もあります。

そこで、「給料の締め日が月末でない」「社会保険料の納入告知書が届くのが翌月後半である」「賞与の金額は固まっていない」場合には、概算額を会計処理することになります。

概算額が生じるということは、実際額が固まった場合にはそれに置き換えるという処理が求められます。

このため、原価計算を行う場合には、その期間に発生したすべてのコストを合計して配賦するのが理想的ですが、コストにさまざまな要素(つまり勘定科目)があり、さらに、確定額と概算額が含まれている場合には、それぞれの要素ごとの配賦金額を算定することで、「仕訳を作りやすくなる」「概算額の計上と洗い替えがしやすくなる」のです。

せっかく積み上げたのに、一部のパーツを取り換えようとして、また全部崩れてしまうというのではモチベーションもさがります。それなら最初からパーツ単位で計算したほうがましということになります。

このパーツは、まさに勘定科目別、しかも、同じ勘定科目でも確定額か概算額によって分けるべきです。

月内での区分

給料の締め日が月末で時間外手当や休日手当などもまったく発生しない場合や、賞与支給対象期間も月末までの期間である場合には、ひと月に発生するコストは同じなので、同じ期間の作業内容につき作業時間で配賦しても何の問題もありません。

給料の締め日が月末でなくても、締め日から月末までの概算計上額も定額の日割りにすぎない場合では、実質的に月末締めと同じと考えられます。また、時間外手当や休日手当が発生したとしても、計算経済性や金額的に重要でない場合には無視する方法も考えられますし、重要と考えられる場合でも、時間外手当が発生した時間に係る作業内容を分離して把握し、あとで加算すれば足ります。

月中でコストが異なる場合

問題は、給料の締め日が異なる場合で、昇給等があった場合です。この場合には、給料の締め日前と締め日以降でコストが異なるからです。

また、賞与の支給対象期間が、たとえば11月21日から5月20日と5月21日から11月20日の場合です。

まず、1月から6月までの月次決算と7月から12月までの月次決算でそれぞれ7月と12月の支給見込額の1/6を計上します。

12月に賞与支給があった場合には、その支給額や支給額に係る法定福利費を、この支給対象期間である5月21日から11月20日までの期間に再配分して原価計算を行うことになります。

5月分の原価計算を行うときには、12月の賞与実支給額のうち5月21日から5月31日までに再配分された額と、すでに支給され再配分されている7月の賞与実支給額の5月1日から5月20日までの額で計算を行います。

7月支給額と12月支給額がまったく同じ金額であれば、少なくとも賞与分に限り(法定福利費は料率の変更等で異なる可能性はあります。)コストは同じですが、7月支給額と12月支給額が金額が異なる場合には、5月20日までの金額と5月21日以降5月31日までの金額は異なることになります。

また、3月決算の場合、11月分については、12月に実際に支給される賞与の支給対象期間は11月20日までの期間に対応している部分のため、11月20日までに対応する部分は実際支給額、11月21日から11月30日までに対応する部分は新たな支給算定期間となるために概算額となります。この概算額のベースが12月の実際支給額でない場合には、月中のコストは異なることになります。

このような場合には、給料の締め日や賞与支給対象期間の締め日の前後で作業内容や作業時間を区分して、それぞれ集計と配賦計算を行うのが理論的となります。

( おわり )