( 3 )現金勘定の使い方

事業活動の性質が現金取引でない場合には、売上代金の入金や事業活動に要した出金は、相手方への請求書または相手方からの請求書がベースとなります。

「すべての取引先について1本で仕訳を入れるべきかどうか」「すべての取引について未払を計上すべきかどうか」など悩ましい問題もあります。小口現金のようにキチンと管理せず、立替経費の精算のみの場合などはわざわざ現金勘定と使う必要はないと考えられます。

また、現金勘定の残高がマイナスにならない方法をご紹介します。

そもそも現金勘定は必要か

まず重要なのは、「そもそも現金a/cを設けるべきなのか?」という検討です。

現金a/cを作らなければならない(作ることができる)のは以下の場合と思われます。

  • 現金売上がある
  • 小口現金をキチンと管理している
  • 小切手を受け取っている
  • 記録(とくに入金記録)がある

小口現金とは、預金から一定の額を引き出して、金庫等に入金し、残高をキチンと管理しながら小口の支払いを行う場合です。 小切手については、受け取った小切手が資金化されていない場合には現金a/cを使うというのが教科書的です。

現金売上などの入金ある場合には必ず現金a/cを使うべきですが、単純に役員や従業員等が立て替えた経費の精算だけならば、あえて現金a/cは使わず未払金a/cを使うべきと思われます。

なぜなら、個人(従業員等)が自身のカードで立替払いをした場合、カード利用日とカード引き落とし(決済)日は異なりますが、カード利用日で仕訳をしてしまうと、実際には現金の動きがないにもかかわらず、現金a/cは減少するという実際の取引にそぐわないことになるからです。

入金処理

現金の入金というのは、現金の支払と違い、また、通帳等への入金とちがい、出納帳や領収書控やレジのスリップといった「記録や証憑」が存在しないとほとんど把握できません。

入金で注意しなければならないのは、「現金売上の入金」なのか「売掛金を現金で受け取ったのか」の区分です

(借) 現金 XXX (貸) 売上高 XXX
(借) 現金 XXX (貸) 売掛金 XXX

どちらも混在している場合で、すぐにはどちらか判断ができない場合には、取引量の多いほうに合わせておくとよいでしょう。あとで、得意先に送付した請求書と照合しながら、適宜修正すべきだと思われます。

売上代金の入金とは判断できない場合などには、仮受金として処理しておきます。

(借) 現金 XXX (貸) 仮受金 XXX

出金処理

現金の出金となりうるものは、大半は「領収書を切った支払い」です。

また、領収書に記載されている相手方からある程度取引内容がわかるため、使用する勘定科目を特定しやすいです。

とはいえ、売上原価や製造費用に相当する支払いなのかどうかについてはこの段階では判明しません。 また、作業の最初と途中と最後で同じ支払先の同じ内容の領収書なのに勘定科目が一貫しなくなってしまうこと・・・たとえば、消耗品費になったり事務用消耗品費になったりなどです・・・はよくあることです。いずれにせよ、後で確認することになります。

飲食関係の領収書等については、その内容によって交際費a/c、会議費a/c、福利厚生費a/cなどいろいろな科目が考えられますが、税務的なリスクも考えて、判断に迷うときはとりあえず交際費a/cで入力してあとで質問することにしておくのもひとつの方法です。

出金処理でもっとも迷うところは、「ダブり」「架空」です

たとえば、手形を先方に渡した時に、先方から手形を受け取ったという領収書を入手することがあります。うっかりこの領収書を現金の支払いにしてしまうことがあります

また、法人カードによる支払いについては、店舗等から出る領収書を現金による支払いとして処理してしまい、その後カードの引き落としの際にあらためて処理してしまうダブりがあります(下記参照)。

同じ取引で異なる仕訳を計上するダブりについては、後で削除をすることになります。ただ、ダブってはいけないと入力処理をしないと今度はモレが生じてしまいます。ダブりの原因よりモレの原因の方がチェックには手間がかかります(計上されていませんから)。重要なのは、ダブることがありうるというリスクを考慮しておくことです。

役員や従業員等の個人立替払いや個人カードによる立替払いの取引

この種の取引は、通常現金a/cを使うことが多いと思われます。

しかし、支払いが発生したその日じゅうに本人に精算がなされる場合はともかく、後日まとめて本人に精算という場合までいたずらに現金a/cで処理しようとすると、日によっては勘定残高がマイナスになるなど現実離れした帳簿になってしまいます。

まして、役員や従業員等が自身のカードで立て替え払いしている場合には、実際にカード払いした日にはカード利用者本人の口座でも資金移動はありません。 にもかかららず、カード名義人ではない現金口座からその日付けで精算処理として現金が出金したというのも不自然です。

そこで、貸方は現金a/cを使わず未払金a/cなどを使います。

これなら、支払いがあった日付けで計上でき、後日立て替え払した本人に精算するときに現金a/cや預金a/cを動かす処理にしたほうが実態にも即していると思います。

未払金a/cには補助科目を付けて管理しやすくします。「個人立替分」でくくるのも、あるいは直接個人名そのものを補助科目にするという方法もあります。

(借) ○○費 XXX (貸) 未払費用(個人立替分) XXX
(借) 未払費用(個人立替分) XXX (貸) 現金等 XXX

未払金a/cの相手科目がわからない場合には、ムリせずに仮払金にしておきます。

(借) 仮払金 XXX (貸) 未払費用(個人立替分) XXX

ここでポイントとなるのが、二重計上の問題です。

カードでの支払いの場合には、まず店等から領収書のほかにカード利用のスリップが渡され、さらにカード会社からの利用明細書があります。 これらをすべて単純に費用処理してしまうと、二重あるいは三重に仕訳を入力してしまいます。

しかし、いちいち気にしていては作業が遅れます。 重複仕訳のチェックは最終的なチェックで行えばよいのです。

そのためにも、入力のときには「取引のあった日付」を間違えずに入力しましょう。重複仕訳を特定しやすくなります。

(参考)現金出納帳の残高をマイナスにしない方法

現金出納帳や日々の残高表などで管理していないかぎり、現金a/cの残高は非常にあいまいものとなります。

ただ、重要なことは、月末だけではなく日々の残高がマイナスにならないことです。

タイミングのよい入金処理

日々の残高がマイナスにならないためには、マイナスになる日にちの前日に「入金」がないといけません。 このためには、タイミングよく役員等の短期借入金などの仕訳を入れることになります。

常に残高をマイナスにしない方法

日々を締めた後の残高はプラスになっていても、会計ソフトの入力の順番で、先に支払いの入力をしてしまうと、元帳では先に支払処理が先行してしまうため、入金処理の後のその日の残高はプラスになるものの、元帳の記載順の関係で残高がマイナスになってしまうことがあります。

もちろん、その日付の仕訳がすべて入力されれば残高がプラスになる(なっていないとおかしい)わけですが、見た目によくないと思っている方も少なくないのではないでしょうか。

これを防ぐためには、支払いの仕訳入力の前に入金の仕訳入力を先に行います。そうすれば、元帳の記載順が入金先行になるため、一時的にせよ残高がマイナスになることはありません

あるいは、空仕訳(金額はゼロの仕訳)を切っておきます

(借) 現金 0 (貸) 短期借入金 0

金額がゼロでも入力できるのなら問題ありませんが、金額ゼロ入力がムリならば 1 円で入力します。

これにより、入金処理を入れる仕訳が先に入るため、後で残高がマイナスにならない額を入力すればよいということになります。

( つづく )