( 5 )仕訳上書き修正と仮払金・仮受金の整理

最初の段階で、預金などの資金取引の入金と出金の仕訳入力をし、とにかく預金残高と一致させました。これらのとりあえず入力した仕訳について、修正仕訳を追加するのではなく、仕訳を直接修正(上書き修正)します。

まず、預金通帳にほぼしたがって1行で入力されていた仕訳を振替伝票に変換して数行にします(仕訳膨らまし)。

そして、資金取引の入力を迅速にするため、相手科目について仮払金や仮受金として処理していたものを正しい科目に修正します。

仕訳膨らまし

「仕訳膨らまし」とは、資金取引を迅速に入力するため便宜上1行で入力されている仕訳を直接修正して、複数行の仕訳(振替伝票)にするものです。1行を数行にするために「膨らまし」としています。

そして、仕訳膨らましの作業と同時に、仮払金や仮受金として入力していたものを適切な科目に変更していきます。

(例1)総合振込みによる支払い

Before

(借) 仮払金 XXXXX (貸) 預金 XXXXX

After

(借) 買掛金(A社) XX (貸) 預金 XXXXX
買掛金(B社) XX
未払金(C社) X

(例2)給料振込み

Before

(借) 仮払金 XXX (貸) 預金 XXX

After

(借) 未払金(給料) XXXXXX (貸) 預金 XXX
預り金(所得税等) XX
預り金(保険料等) X

(例3)借入金返済

Before

(借) 仮払金 XXXXX (貸) 預金 XXXXX

After

(借) 借入金 XXX (貸) 預金 XXXXX
支払利息 XX

(例4)受取利息

Before

(借) 預金 XX (貸) 仮受金 XX

After

(借) 預金 XX (貸) 受取利息 XXX
未払法人税等(所得税等) X

仮払金a/c と仮受金a/c の整理

さて、入出金の基礎となる情報も仕訳入力しているため、あらかた取引の全体像は見えてきています。

資金勘定の怒涛の入力にあたって仮払金a/c や仮受金a/c で処理していた取引も、買掛金や未払金の出金や売掛金の入金であると判明しつつあります。

そこで、仮払や仮受としていた取引について、その仕訳を直接修正していきます。

Before

(借) 普通預金 XXX (貸) 仮受金 XXX

After

(借) 普通預金 XXX (貸) 売掛金(B社) XXX

Before

(借) 仮払金 XXX (貸) 普通預金 XXX

After

(借) 買掛金(C社) XXX (貸) 普通預金 XXX

この段階で、ムリに仮払金a/c や仮受金a/c をゼロにする必要はありません。取引内容が不明でも、ほかの部分の検討を行ってどんどんデータ全体の精度が上がってくると判明することもあります。

あえて仮払金a/c や仮受金a/c に残しておくという考え方もあります。

仮払金a/c や仮受金a/c をゼロにすることを急ぐあまり、あまり検討せずになんらかの科目に直接修正をしてしまうと、そのまま「埋没」してしまい、あとでじっくり検討することを忘れてしまうことがあります。

備忘的に仮払金a/c や仮受金a/c に残しておけば目立つため、じっくり検討することができます。

( つづく )