( 7 )会計帳簿の完成

まず資金取引を入力して「幹」を作り、売掛債権や未払債務などの「枝葉」を付け、そしてこれらを補助元帳のチェックを通じてリンクさせます。

その手段は、修正仕訳を追加入力するのではなく、いったん暫定的に入力した仕訳を直接修正します。

そして、最終的なチェックを行い、あとは通常の決算作業をすればよいのです。

ダブり仕訳の削除

補助元帳をチェックしている段階で、売掛金や買掛金の計上がダブっていることはチェックできるため、適宜削除して修正できます。

なお、最初に資金取引を入力して預金残高と合わせているため、入金や出金がダブっていることはないため、そのほかのチェックに集中できます。この点で、資金取引という「帳簿の幹」をまず固めることがいかに大切かということになります。

それでも、費用や収益がダブって入力されている可能性があります。

現金がらみの取引のダブり入力

とくに、現金入金や現金出金の取引であやまって二重に仕訳を計上してしまう場合や、カード決済等などで、店舗の領収書(クレジットカード払いとしての)とカード利用のスリップとカード会社からの請求書でともに仕訳を計上してしまう場合です。

補助科目が付されていない取引のダブり入力

また、補助元帳のところでも申し上げましたが、補助科目を入力していない仕訳については、これを直接修正して補助科目を入力するのですが、つい仕訳の入力モレとして仕訳を新たに入力してしまうことがあります。

この場合、補助科目が付されている補助元帳は問題ないのですが、補助科目が付されていない仕訳は削除されずに残っているため、その勘定科目全体としての残高は過大となっています。

仮払金や仮受金で処理している仕訳をダブり入力

チェックが進むにつれて、当初暫定的に仮払金や仮受金として入力していた仕訳を適切な勘定科目に修正していくわけですが、あえて仮払金や仮受金に残しておき、後で入念に検討することがあります。

しかし、それがゆえに、適切な勘定科目によって別途仕訳入力してしまうとダブりとなります。

処理日付によるダブり入力

会計ソフトでは、入力時した日付で仕訳処理されるようにデフォルトで設定されていることが一般的です。この場合、仕訳入力の際に日付を適切に修正することを失念すると、たとえば、12月24日に、8月1日付けの仕訳を入力しようとすると、特に日付を8月1日にして入力しないと12月24日付の仕訳となって入力されてしまい、入力し忘れたかのような状況になってしまいます。

そこで、あらためて仕訳を入力するとそれがダブっていることになります。

仕訳日記帳による検証

このような場合には、総勘定元帳ではなく仕訳日記帳によって確認することが有益です。

各勘定科目の総勘定元帳でチェックする方法は、もしダブって計上した仕訳が異なる科目(例えば1つの仕訳は消耗品費 a ⁄ c 、ダブって入力した仕訳は事務用品費 a ⁄ c として処理してしまうと、総勘定元帳ではチェックモレになる可能性があります。

そこで、仕訳日記帳ならばそのチェックモレを解消できます。なぜなら、取引日付と金額が一致している仕訳はダブって入力している可能性があるからです。

ただし、日付を間違えた場合にはお手上げです。

仮払金や仮受金を残高ゼロに

いよいよ仮払金や仮受金に残っている取引の適切な勘定科目への振り替えです。

それまでは出された資料からある程度処理できたものの、どうしてもわからない場合には、あらためて資料をリクエストしたり質問することで、有益な情報を得られることが少なくありません。

すでにほとんどの取引を適切に帳簿に反映できており、質問も不明点がより明確になっているため、その回答も的を得ている可能性が高いからです。

「酔っぱらった処理」の修正

最後に、「酔っぱらった処理」、つまり、同じ性質の取引なのに、期中で異なる勘定科目で処理していることがあります。

事務用品費a/c と消耗品費a/c や雑費a/c がもっともポピュラーではないでしょうか。

これらについて、仕訳を直接修正して処理を一本化します。この処理も、わざわざ勘定科目の訂正伝票を大量に追加入力するより、仕訳を直接修正するほうがスッキリしてわかりやすいのです。

ここまでくれば、それなりの会計帳簿になっていると思います。

あとは、必要に応じて経営管理も踏まえた情報(部門情報など)を追加入力したりして決算作業ということになります。

( おわり )