非上場株式の譲渡に対する課税

時価を超える額での譲渡(高額譲渡)を検討いたします。

( 1 )適用される時価の種類

税務当局も裁判所も、売買価格を税務上の時価で行えとはまったくコメントしていません。

課税が発生するかどうかを判断するための画一的な尺度が税務上の時価であり、この尺度によって課税処分をすることと、当事者がこの尺度で売買しなければならないということはまったく別なのです。 課税の問題が生じる場合には、正規の納期限までに税金を払えば国家との関係では問題ないわけです。税法のルールで算定された価額に当事者が拘束される必要性はないと思われます。

そして、この税務上の時価は、相続税法上の時価、所得税法上の時価、法人税法上の時価があります。

( 2 )個人による株式の取得に対する課税

時価より著しく低い価額で取得した場合に時価までの部分に対する課税、法人から時価より高い価額で取得した場合に時価を超える部分に対する課税です。

なお、「取得に対する課税」なので、この取得した株式を将来譲渡した場合の譲渡所得金額の計算における取得費はどうなるのかについても併せて検討いたします。

( 3 )個人による株式の譲渡に対する課税

所得税法は、所得を10種類に分け、それぞれの所得ごとに所得金額の計算方法を規定しています。株式の譲渡による売却損益は、譲渡所得に該当します。ただし、有価証券の譲渡を営利を目的にして継続的に行っている場合には、譲渡所得ではなく事業所得もしくは雑所得となります(所得税法33条2項、所得税基本通達23~35共-11)。以下は、株式の譲渡は譲渡所得になる個人を前提にコメントいたします。

個人が株式を譲渡した場合、譲渡所得に対して所得税等が課税されます。譲渡所得の金額は、譲渡による収入金額から当該株式の取得費および譲渡に要した費用を控除して算定します(所得税法33条3項)。

( 4 )法人による株式の取得に対する課税

法人税法上では、法人はもっぱら営利を追求し常に経済合理性に従って行動する主体です。

経済合理性に従って行動するということは、取引もその時における価額(時価)で行うものとされ、時価とは異なる価額で取引をした場合には、相手方に対して経済的利益を享受したあるいは供与したということで法人税が課税されます。

今回は、法人が時価とは異なる取引価額で株式を取得した場合の税務上の効果、あわせて、その株式を将来譲渡したときの効果を検討します。

( 5 )法人による株式の譲渡に対する課税

法人が時価とは異なる取引価額で株式を譲渡した場合の税務上の効果を検討します。

( 6 )「時価」の1/2未満の低額での譲渡

前回までは、取引当事者(個人または法人)を中心にして取得と譲渡について検討いたしました。

今回より、取引価額を中心にして各当事者ごとの譲渡についての課税を検討いたします。

時価の1/2未満の価額での譲渡(低額譲渡)を検討いたします。

( 7 )「時価」の1/2以上の低額での譲渡

時価より低い価額ですが、時価の1/2以上での譲渡(低額譲渡)を検討いたします。

( 8 )「時価」を超える高額での譲渡

時価を超える額での譲渡(高額譲渡)を検討いたします。